LANDSCAPER - OKUDAIRA [ランドスケーパー 奥平] | 茨城県を中心に雑木を取り入れた庭づくりをご提案。

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EVENT | LANDSCAPER - OKUDAIRA [ランドスケーパー 奥平] | 茨城県を中心に雑木を取り入れた庭づくりをご提案。

これまでに携わったいくつかのプロジェクトを通じて、互いにリスペクトをする2人。ランドスケープデザイナー 奥平和之の庭づくりに対する考え方、生き方をよく知る人物、建築家 熊倉ナオキと対談を行いました。

「気づき」を共有できる関係性から生まれるもの。
熊倉 奥平さんとは佐野市で開催したとある展示会の会場で出会ったのがきっかけです。そこから短いスパンに高い密度でご一緒させていただくようになり、今では、仕事以外のことでも気軽にやりとりをする間柄になりました。何か奥平さんの中で「気づき」があった時、「今伝えたい」といってそれを僕に共有するために電話をかけてくることがあります。それは、仕事のことに限らず、例えばお子さんとの時間の中で感じたことだとか「人生観」という部分が大きいです。
奥平 熊倉さんは考え方が柔軟なので、僕の仕事への情熱や熱量を素直にぶつけられる人ですね。
僕の中では、「建築」と「庭」は考え方が似ているなと思っています。熊倉さんとは一緒に仕事をしていて通じ合う部分があり、提案を受け入れてくれることもあるし、逆に意見をもらうこともあります。
熊倉 感覚が似ているというのはあるかもしれません。例えば僕は、街を歩くときや、本を読むときなんかも、あえて「しっかり見ない」ようにしているんです。頭の片隅に少し記憶が残る程度に留めておく。しっかり見ると意識の中に残りすぎてしまうんです。
奥平 僕もその点が全く一緒で、とても驚きました。想像をふくらませると、見たものよりも良いものになるんです。どうやって作っているかを考えたりします。
住み手とともに成長し、その人らしい庭になっていく。
熊倉 奥平さんの庭の魅力のひとつに「見え方」があります。日常の中で私たちが街中の木々や家の庭を思い浮かべるとき、立っている目の高さで考えることが多いと思うのですが、奥平さんの庭は足下が充実しているんです。足下にボリュームがあって見上げると花や木々があり、上部にいくにつれ風にそよぐ葉の間から空が見え軽くなっていく、といった風にグラデーションで溶け込んでいく。庭は引き渡した後も継続的なメンテナンスが必要になります。住み手の方が作業する時はしゃがんだり座ったりと、低い視点を見ることも多いので、そういう要素に気を配っているのを感じます。
奥平 確かにそうですね。庭のデザインにあたっては、まずは依頼主の方に感動してもらいたいと考えています。庭を通して気づきや学びを体験しながら、住み手とともに成長する庭になっていくのが理想です。
そのためには、庭を好きになってもらわなくてはならないという点で、メンテナンスのしやすさはとても重要ですね。住み手の方自身が植物の知識を得たり、メンテナンス方法を覚えて頂くことができれば、1年中綺麗な景色を自分たちで作り楽しむことができる。最初のうちは管理方法がわからないことも多いですし、そうでなくても、近くに行った時はなるべく庭の様子を見に立ち寄ることしています。もちろん高い木は怪我などの危険もあるので、無理な場合は僕にお願いしてくださいねとお伝えしています。たとえ雑草が生えても花が咲くし、悪いわけじゃないんです。草が生えていてもいいし、綺麗にしていてもいい。その人らしい暮らし方で景色を作っていくのがいいと思います。
そうして1年経ち、2年経ち植物が成長するにつれ、僕が予想していなかった以上のことが起きて、庭が素敵になる。それを見て僕もまた感動をする、その繰り返しですね。
熊倉 以前、住宅の駐車場の近くに木を入れる計画をした庭があったのですが、木が伸びると車の出し入れがしにくくなるのでは、と住み手の方が難色を示していたことがありました。奥平さんが丁寧なやりとり重ねていった結果、意識が徐々に変化して、最終的には「庭をさわることが楽しみで、料理と木の剪定が趣味になった」と聞いて驚いたことがあります。
奥平 コミュニケーションとしては、僕よりも建築家さんが打ち合わせを重ねる回数の方が絶対的に多いので、建築を見た段階でなんとなく好みの傾向を感じています。実は、住み手の方とは庭のことに関する打ち合わせというのは、あまりしていないんです。それよりも、人と人で付き合いたい。コミュニケーションを大切にしながら趣味嗜好や性格、暮らし方などの情報を収集する。それらを落とし込みながら、「可能性」という部分も取り入れて計画をしていきますね。
熊倉さんの建築には、住んでから生活の中で楽しみを見つける余白があるんです。庭づくりにおいても同様で、僕が入れる余地が土地の中にある。だから面白いこともできるんです。庭づくりにおいても余白を残してお客様へ引き渡します。年月が経つと好きな花や植物が出てくるものです。そこに暮らす人たちが楽しめる要素を残すようにしています。
熊倉 奥平さんの庭の面白い部分は、最初のスケッチと現場で出来上がっていくものが違うという点です。僕も完成が楽しみなので、途中過程はあまり見にいかないことにしています。
奥平 僕は「その人が持っている何か」が必ずある、と思っているので、まず初めの設計段階ではそれが降りてくるまで待ちます。
そうしてスケッチに起こしてから、現場に入った初日の午前中は改めて考える時間にしています。住む人が見たいのはどんな景色か、どういう動線で歩いたら気持ちが良いんだろうか。住み手を知るほど、その人の暮らしに入り込んでいきます。その上で、計画を変更することもありますね。
熊倉 一般的にはアプローチがあって、駐車場にはコンクリートが打たれるんだろうなと思うところでも、手がけるのが奥平さんだと、当初予定していたアプローチの計画はどこかへ行ってしまって、ふと立ち止まりたくなるような演出がなされていたりします。
奥平 暮らしの中に豊かさを入れるような演出を大切にしています。足を一歩踏み出す場所に、植物を入れる。その花が咲いているのに気がついたら、今度は他の何かに気が付く。なかなか家に入れないんです。本当に豊かな暮らしというのは、家だけでも庭だけでもなく、全てが絡み合うことだと思います。僕が作りたいのは、庭の見せ方という表面的なことではなく、「暮らしに根付いた庭」なんです。
庭と一緒に始まる家づくりがあってもいい。
熊倉 奥平さんと出会ってからは、僕の建築に対する意識も変わってきました。
以前は「外に閉じて、中に開く」というのを設計コンセプトにしていましたが、プライバシーを確保しようとすると、建築物は硬い雰囲気になっていきます。地域に対して開きたいという思いはあっても、人通りが多い場所ではそれが叶わないという時、奥平さんは木々や植栽を使ってレイヤーを入れることでアイポイントを散らすんです。手前に庭木を入れると意識がそこに向かうので、ほかの場所があまり気にならなくなる。塀で完全にふさがなくてもいいんだ、と自分の設計だけでは見えなかった気づきがありました。なので僕からすると、新しい引き出しを奥平さんが見つけてくれるだろうという期待があります。建物をどういう形にするか、僕から奥平さんに相談をさせてもらう、庭と一緒にスタートする家づくりをしてみたいと考えました。
奥平 庭は建築よりも後回しになることが多いですし、通常は全体計画への発言力もありません。まだこういった方法で行うプロジェクトは多いわけではありませんが、建築計画の段階から参加することで、例えば「ここに大きな窓があればワクワクする景色を作れる」だとか、建築に対して無責任な発言もさせてもらえる。そうして熊倉さんと一緒に手がけたMUSUBIというプロジェクトではとてもいいものが出来ました。
新しい景色を作り出す庭づくりとは。
奥平 優れた造園家の方々の技術や思考を直接学びたい一心で、これまで各地を歩きさまざまな経験を積ませていただきました。
僕の庭は日本の伝統的な庭づくりの技術をベースにしていますが、こうでなければという「型」のようなものはありませんし、それを大切にしています。住み手となる方の理想となる庭を僕の中で組み立てて、新しい景色を作り出したい。そう考えています。
庭づくりというこの仕事を通して、最高な生き方をしていると思いますね。

landscape designer × first-class architect [ MEETING ]

ランドスケープデザイナー:奥平 和之
https://jldesign.jp/

1980年 北海道上ノ国町に生まれる。
幼少期を森、川、海に囲まれた大自然で過ごす。
ごく当たり前のように自然が遊び場であった。

1990年 父の仕事の都合で茨城県に移り住む。

2001年 造園業に携わる。
高校生で出会ったギターと共にBAND活動のかたわら、
数社の造園会社を経て。

2014年 J.L.Design 日庭 設立。
日々庭つくりに奮闘中。

建築家:熊倉 ナオキ
https://kuma-archi.com/

1983年 栃木県生まれ
2006年 足利工業大学 工学部 建築学科 卒業
2006年〜2009年 設計事務所 勤務務
2010年 熊倉建築設計事務所 勤務
2012年 足利工業大学 建築学科 非常勤講師
2009年 第3回イズモザキデザインコンペ
ファイナリスト
2015年 第3回佐野市水と緑と万葉のまち景観賞
2015年 LIXILメンバーズコンテスト2015
新築部門 入賞【堀米の家】
2016年 LIXILメンバーズコンテスト2016
新築部門 入賞【成島の家】